奥山儀八郎:ニッカウイスキー蒸留所(売却済み)
作家: 奥山儀八郎(1907-1981)
題名: ニッカウヰスキー蒸溜所 制作年: 1943
戦時下のウイスキー工場を写した珍しい風景。日本初のウイスキー蒸溜所が開設されたのは1920年代であり、当時は生産の大半が戦争遂行に向けられていたにもかかわらず、ウイスキーがなお重要な製品だったことがわかって興味深い。一人の作業員が蒸溜機に熱を供給する火床の一つに石炭をくべ、背景では別の作業員が木樽を転がし、また別の作業員は大型ボイラーの上にある機器を点検しているように見える。銅製の蒸溜機から下がる神道のしで(折り紙の紙垂)に注目したい。しでは、祝福や浄化などを示すために用いられる。また、しでは工場の入口にも掛けられており、そこを神聖な、あるいは加護のある空間として区切っているのかもしれない。こうした「純粋な」日本製品が工場という環境で生産されている光景は、当時、帝国の戦争機械のために 軍需品、航空機、海軍物資を生産していた日本各地の何千もの工場を、見る者に思い起こさせるかもしれない。儀八郎は新版画と創作版画の両運動で活動し、その作風は大きく変化した。木版画の資材が第二次世界大戦中に非常に厳しく制限されていたことを考えれば、これがかなり入手困難な図柄であるのも当然だろう。
状態: 印象、色彩、保存状態ともに良好。
寸法: ôban (24.2 x 36.8 cm)
参考文献: 東京国立近代美術館。
署名: Gihachiro ga
SKU: GHR010