小田一馬:出雲美保関の眺め
作家:織田一磨 Oda Kazuma (1882-1956)
タイトル:出雲美保関の景色 制作年:約1925年
左上のレストランの窓越しに、女性とその同行者がくつろいでいる様子が見え、私たちも彼らの港の眺めを楽しむことができます。雨が斜めに降り注いでいます。水面には昔ながらの木造船がいくつか浮かび、桟橋にはフェリーと思われる動力船が停泊し、その煙突からは白い煙が立ち上っています。桟橋には人々が並んでいます。右側には帆船ともう一隻の動力船があり、その煙は興味深いクロスハッチの模様を描いています。左下の余白に「出雲美保関の景」と題されています。松江の港町、美保関は江戸時代に栄えた小さな歴史的な港を特徴としており、この100年前の景色とほぼ変わらず今日もその姿を保っています。自然に囲まれ、大山の素晴らしい眺望を提供しています。主な見どころは漁師の神である恵比寿を祀る美保神社です。
織田一磨は創作版画(創作版画)作家として最もよく知られており、1918年に日本創作版画協会の創設メンバーの一人でした。彼はリトグラフ作品も多く制作し、1930年のトレド美術館の展覧会にも彼のリトグラフが出品されました。しかし1920年代初頭には、渡辺庄三郎と協力して、専門の彫師や摺師が彼のデザインを具現化した新版画の伝統に則った6点の作品を制作しました。この版画は渡辺が1930年にトレド美術館で開催した重要な新版画展に出品されました。この作品には渡辺の落款はなく(ミュラーコレクションの1点を除く)、後に再版されることもありませんでした。
状態:印刷状態、色彩、保存状態ともに優良。版画の端にわずかな小さなシミあり。寸法:26.8 x 39 cm
参考文献:ドロシー・ブレア『近代日本木版画』トレド美術館、1930年(1997年再版)、No.172;ローレンス・スミス『1900年以降の日本版画』1983年、写真p.89、p.92、No.71;アマンダ・T・ゼンダー『近代日本版画:20世紀』カーネギー美術館、2009年、p.136;キャロリン・M・プトニー他『新鮮な印象:近代初期日本版画』トレド美術館、2013年、p.211、カタログNo.179;東京国立近代美術館。カーネギー美術館、トレド美術館、スミソニアン国立アジア美術館も参照。
SKU: OKZ015