春蝶:結婚式の日に疑念を抱く美しさ;悲劇の若い恋人たちと二人の従者
作者: 勝川春潮(活動期間1781-1795年)
タイトル: 猪瀬山五枚続(いもせやまごまいつづり)
制作年: 1780年代頃
白無垢の花嫁衣装を身にまとった美しい女性が、扇子を持つ若くハンサムな侍の外套をそっと引っ張っています。彼女の心には明らかに重要な思いがあり、彼は心配そうに彼女を見つめています。これは歌舞伎の演目「猪瀬山女庭訓」と並行する場面で、二人の恋人が蘇我入鹿と藤原鎌足の権力闘争の犠牲となる物語です。ここでは、婚礼の髪型をした雛鳥が久我之助の外套を引っ張っています。二人の女中が心配そうに見守っています。非常に繊細な表情や仕草で一枚の絵に説得力のある物語を描き出す作者の技量がうかがえます。希少作品です。
この悲しい物語は、大和国の猪瀬山の雛鳥と紀伊国の瀬山の久我之助という恋人たちを中心に展開します。この演目は1771年に大阪で初演されました。
状態: 鮮明な刷りと色彩、非常に良好な状態。黒色顔料のにじみと軽い表面の汚れあり。
寸法: 中判 25.2 x 19 cm 署名: 春潮画
SKU: SCH020