北斎: 銀の髪飾りと絞り染めの摺物
作者:葛飾北斎 (1760-1849)
タイトル:銀の髪飾りと絞り染め摺物 制作年:1820年代初頭頃
絡み合う鶴の形をした銀のかんざしが、折りたたまれた紙の包みに部分的に包まれて描かれています。その下には梅の花の房をかたどった三本目のかんざしがあり、透ける薄紙に包まれています。印刷技術により、このほとんど不可能な視覚的重なりが巧みに表現されています。背景には小さな山のように盛り上がった絞り染めの絹布があり、複雑な髪型にボリュームを出すために使われました。この絞り染めは「鹿の子絞り」と呼ばれ、染料に浸す前に丁寧に巻かれた糸が一つ一つの絞りを生み出しています。これらの豪華な髪飾りは、特に新年の祝賀時に高位の遊女やその従者たちが身に着けたものでした。
詩はカーペンターによって以下のように翻訳されています:
「門が竹と松で飾られ/若い乙女は宝石のかんざしをつける/春の陽のように輝いている」 --清陽園影弘
「彼女の髪型には、竜田の紅葉が絡み/私の妹は/春のスパンコールの花飾りをつける」 --楽声庵(「私の妹」は、遊女の見習いを指す愛称として使われていました。)
『フランク・ロイド・ライトの摺物コレクション』(136ページ)によると、これは非常に稀少な初版のオリジナルデザインであり、明治期以降の模写版で最もよく見られます。フランク・ロイド・ライトコレクションの例は色彩がやや異なり、布地の緑の代わりに紫色が使われています。本例の色彩は詩にある竜田川の紅葉の赤により近いと思われます。また、本例のかんざしは他の例の青銅色に対し、より銀色が強調されています。来歴:アドルフ・ストクレ(1871-1949)、ベルギー・ブリュッセル。彼の死後の売却;2004年6月8日、ロンドン・サザビーズ、ロット451。
状態:非常に良好な摺り;色彩・保存状態ともに良好。金属顔料のにじみや表面の汚れ、右下に折れ跡あり。
参考文献:ミルヴィス『フランク・ロイド・ライトの摺物コレクション』136ページ、番号36。 ボストン美術館コレクション、ウースター美術館コレクションも参照。
寸法:色紙版 21.7 x 18 cm
署名:北斎改為一筆
SKU: SUR075