国貞:『丹の浦兜軍記』の役者絵(開かれた書物のように表現)
作家: Utagawa Kunisada (1786-1865)
題名: Dan no ura kabuto gunki 壇浦兜軍記~阿古屋 より、開かれた書物に見立てた構図の歌舞伎役者の二枚続き 制作年: 1862/10
鞘に収めた刀と扇を三味線に見立てて弾く所作をしながら歌う岩永が、「書物のページ」をはさんで阿古屋と重忠に目を向けるという大胆な構図。岩永は歌舞伎役者・中村芝翫(右)、阿古屋(中央)は尾上栄三郎、重忠は市川市蔵(左)が演じる。開かれた本として描くだまし絵風の趣向が愛らしい。これは、景清の恋人である遊女・阿古屋が、逃亡中の恋人の行方を問われて取り調べを受ける場面に当たると思われる。重忠は朝廷の警護の長で、阿古屋が景清の逃亡先を知らないと主張する真偽を確かめるため、三つの楽器で彼女を試す。阿古屋は三種の楽器を見事に弾き分け、歌も状況にふさわしく合わせて清廉を証明する。岩永は副検者で、ここではやや悪役めいた立ち回りで彼女を嘲るように演奏しているのかもしれない。書物の背景、ページの縁、鶴、扇、そして役者の衣装の白の部分にまで、広範に空摺(ガフラージュ)が施されている。
状態: 摺り・発色・保存ともに極めて良好。裁ち落とし・裏打ちなし。わずかなシワあり。 寸法: 大判二枚続(37.5 x 25 cm、各紙およそ)
版元: Kagiya Shobei 署名: 七十八歳 豊国筆
SKU: KUS311