小泉癸巳男:大畑野からの富士 大泰野の不二(売却済み)
作家: 小泉癸巳男 (1893-1945)
タイトル: 大畑野からの富士山 大泰野の不二 制作年: 1943
シリーズ: 富士の三十六景、聖峰富岳三十六景の内
春の富士山を描いた作品で、前景には鮮やかな緑と黄色の縞模様の畑が広がり、その奥に並ぶ木々や屋根の輪郭が続き、さらにその向こうに、ふわりとした雲が点在する青空を背景に大きな山がそびえ立っています。前景には牛が描かれ、風景の中には咲き誇る桜の木も見えます。地名については、現在「大畑野」という名のゴルフ場があるのみで、大畑野駅は神奈川にある秦野駅へと改称されています。
この戦時下のシリーズの題材に富士山が選ばれたのは不思議ではありません。富士山は古くから国を結ぶ象徴として存在し、戦時中には国家主義を高めるためにも用いられていました。戦時中の版画家たちは、紙や版画制作の資材を配給してもらうために、国家目標に歩調を合わせる必要がありました。今日私たちが目にするのは、こうした美しい山を捉えた場面に宿る政治性ではなく、創造性だけです。
これは初版で、右端にシリーズ名、制作年、鉛筆署名が入っています。右端の情報がない後刷り版も存在します。小泉は1940年にこのシリーズの制作を始め、1945年に東京郊外の埼玉にある義理の両親の家へ移るまでに、予定された版画23点を完成させました。1945年12月に逝去しました。 小泉は、専門の彫師から木版彫刻の本格的な訓練を受けた数少ない創作版画家(もう一人は平塚)でした。
サイズ: 30.3 x 39 cm 状態: 刷り、色、保存状態ともに उत्कृष्ट。
SKU: KZK017