川瀬巴水：日光神橋の雪（初摺）

タイトル：日光神橋の雪
日付：1930年

日光の名物でもある朱塗りの神橋は大雪が降るとさらに美しく、真っ白な周囲とのコントラストが幻想的です。橋の下には大谷川が流れています。丸くて大きく、二つとして同じものはない雪の結晶は巴水の特長です。遠くの丘がそっと後退し、距離が遠くなるごとにその輪郭がかすんで見え、まるでその場所に直接訪れているかのように感じます。
この橋は日光・二荒山神社の建造物で1999年に世界文化遺産に登録された「日光の社寺」のうちのひとつです。
川口が出版した作品は、その優れた印刷品質で高く評価されています。この作品は合版をしていた酒井との分離後である1930年の初摺作品で裏面には154/350の限定印が押印されています。
特にこの作品は非常に深みのある印刷がなされています。初摺作品であっても、この作品のように奥行きを加える繊細でビロードのような印刷が施されていないものもあるため、このコンディションは非常に希少です。（人気のあるデザインのため、巴水の死後に出版された多くの再販分が市場に存在します。それらの作品には初摺のような専門知識と精巧さが欠けているため全くの別物です。）

コンディション：色、状態ともに非常に良好
寸法：大判（28.1 × 40.8cm）
版元：川口
文献・展示：HOTEI #213、NARAZAKI #Ks-12、Visions Of Japan: Kawase Hasui's Masterpieces（ケンダル・H・ブラウン著・P.75・No.39）、ボストン美術館
サイン：巴水